ジャテツとザーツ・ホップの景観は、チェコ北西部の町ジャテツと周辺のホップ畑からなる文化的景観で、ビールの香りと苦みを決める名品種ザーツ・ホップを700年以上育て、加工し、取引してきた歴史を伝える世界遺産です。ホップとビールの神殿の展望台、モルトハウス、ホップ博物館、オージェ川沿いの畑を歩いた記録を、動画・写真・解説付きでまとめています。
展望台から見たホップの町
ジャテツのホップとビールの神殿に入ると、解説付きのツアーがセットになっていて、併設された展望台からは町とホップ畑を一望できます。2023年に登録されたばかりで観光客は少なく、訪れた当時は日本語のガイドブックにも載っていない町でした。
チェコで一番有名なビールはピルスナーで、その名前は同じチェコの町プルゼニュに由来します。そのピルスナーの原料となるホップが育てられてきたのがジャテツで、ドイツ語の町の名前「ザーツ」が品種名の由来です。ビールの原料は大麦の麦芽、水、ホップ、酵母で、香りと苦みを出して味のほとんどを決めるのがホップです。
モルトハウスとホップ博物館
展望台の次はモルトハウスへ行きました。ビールに使う大麦は、厳密には発芽させた麦芽(モルト)で、その熱し方などを英語のガイドで説明してもらいました。専門用語が多く、聞き取れない部分もありました。
続くホップ博物館は、ホップの生物学的な話から栽培、加工、乾燥、圧縮、運搬、今は使われていない昔の農具まで、展示がとても充実しています。各所のQRコードでチェコ語、ドイツ語、英語の解説を読めます。作物ひとつでここまでの展示ができることに驚きました。
当時の農民の暮らし、道具の発展、産業革命で効率よく大量に作れるようになった流れも展示されています。ホップをビールに入れる理由は苦みと香りだけでなく、ビールを長持ちさせる効果もあります。
日本へのホップの輸出
博物館には、ジャテツのホップの重要な顧客として日本のビール会社の展示があり、チェコのホップの輸出先は日本が1位です。国民1人あたりのビール消費量もチェコが圧倒的な1位で、ビールそのものの輸出量はそれほど多くありませんが、原料のホップでは日本との結びつきが深い町です。
オージェ川とホップ畑
ホップ畑まで歩こうとしましたが、畑は広く、車やタクシーで回る距離でした。訪れたのは春で、ホップは芽吹いたばかりの時期です。成長すると人の背丈よりはるかに高くなります。文化的景観を見るなら、最初に登った展望台から町を一望するのが一番です。
町を一周して歩いたオージェ川沿いには畑が作られ、ホップが栽培されてきました。昼と夜の寒暖差がある気候、栽培に向いた土壌、山のない平らな土地といった自然の条件に加えて、ビール好きの文化が原料へのこだわりを育ててきました。
世界遺産データ:ジャテツとザーツ・ホップの景観
ジャテツとザーツ・ホップの景観は2023年に世界遺産に登録されました。ホップ畑と2つの小さな村からなる農村部と、ジャテツ(ドイツ語でザーツ)の歴史的中心部と19世紀の工業地区「プラハ郊外」の2つの構成資産からなり、オージェ川で結ばれています[1]。
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- (iii)文化的伝統や文明の、比類のない証拠
- (iv)人類の歴史の重要な段階を示す建築・技術・景観の見本
- (v)伝統的な集落や土地・海の利用の見本
700年以上続くホップの栽培と加工の伝統を伝える景観で、19世紀にはチェコ人・ドイツ人・ユダヤ人の共同体による生産の革新と世界的な交易によって、ジャテツはホップの中心地として世界に知られるようになりました。
ホップを乾燥・梱包・認証・保管する建物や、それを支えた行政・文化・宗教の建物が残っています。町の景観は、ホップの乾燥塔と硫黄燻蒸室の高い煙突によって特徴づけられています。