スクーグスシルコゴーデン(森林墓地)は、スウェーデンの首都ストックホルム南部にある、松林と建築を一体に設計した20世紀初めの共同墓地で、世界の墓地のデザインに影響を与えた文化遺産です。早朝6時台に訪れ、大きな十字架から森の礼拝堂、復活の礼拝堂まで歩いて回った記録を、動画・写真・解説付きでまとめています。
森林墓地と大きな十字架
スクーグスシルコゴーデンは、スウェーデン語で「森林墓地」を意味します。すぐ北には別の名前の墓地があり、南側が世界遺産に登録されている墓地です。早朝6時台に着いたので人はほぼおらず、静かな場所でした。解説はとても充実していますが、ほとんどがスウェーデン語で、英語はQRコードの先で読む形でした。
登録基準の(ii)と(iv)は、世界の墓地のデザインに影響を与えたことと、20世紀初めの景観と建築の設計によるものです。造られたのは1920年ごろで、世界遺産の中ではかなり新しい方です。これまでお墓の世界遺産といえば古墳のような規模のものばかりでしたが、ここは自然と調和させたお墓のデザインを新しく作ろうとした場所です。
大きな十字架の周りでは工事が進んでいて、今も増築しているようでした。2020年代に亡くなった方のお墓もあり、今も更新され続けている場所です。
松林と鹿、森の火葬場
松の木が生い茂る中に墓石が並び、鹿もいました。自然との調和がテーマで、北欧らしさを感じます。一番有名な森の火葬場は、2025年から修繕工事中でした。小高い丘もあり、丘と森と自然、そして人間が調和した墓地です。
墓は10万基あり、今も毎年数千の葬儀が5か所の礼拝堂で行われているそうです。理念には、スウェーデンの「死者は森に還る」という死生観があります。国によって死生観は本当に違い、輪廻転生や魂が残るといった考えは聞いてきましたが、森というのはあまり聞いたことがありませんでした。
森の礼拝堂と復活の礼拝堂
森の礼拝堂は、さらに自然と調和した建物で、一番北欧らしい場所だと思いました。教会や礼拝堂があるのはヨーロッパらしいところですが、この自然の雰囲気は、日本の共同墓地とも親和性があると思います。
復活の礼拝堂は、古代ギリシャ風のとてもシンプルな建物です。柱の頭はコリント式かと思いましたが、よく見ると自然の草のような模様でした。
スウェーデンはヨーロッパ中のいいとこ取りをしている国だと分かりました。北欧4か国の中では、日本人のような外から来た人にも住みやすいと思います。1泊2日では全く回り切れず、もう一度北欧のどこか1か国だけ行くとしたら、スウェーデンを選ぶと思います。
世界遺産データ:スクーグスシルコゴーデンの森林墓地
スクーグスシルコゴーデンの森林墓地は1994年に世界遺産に登録されました。1912年にストックホルム市が松林に覆われた砂利採取場の跡地を取得し、国際設計競技で選ばれた30歳のスウェーデン人建築家、グンナール・アスプルンドとシーグルド・レヴェレンツが設計しました。1917年に着工し、1920年に墓地と森の礼拝堂が献堂されました[1]。
- i
- ii
- iii
- iv
- v
- vi
- vii
- viii
- ix
- x
- (ii)建築・技術・都市計画・景観設計における価値観の交流
- (iv)人類の歴史の重要な段階を示す建築・技術・景観の見本
1923年から1940年にかけて、2人のどちらかが設計した礼拝堂や施設が加えられました。同時代の墓地の多くが整ったイギリス式の公園を思わせるのに対し、ここでは小道が森の中を自由に通り、墓も整列させすぎずに森の中に置かれています。手本にしたのは、古代と中世の北欧の埋葬の原型でした。
礼拝堂などの建物は、景観から切り離すと意味の多くを失う、環境と一体になった20世紀の建築の成功例とされます。2人の墓地は新しい墓地の形を確立し、世界の墓地のデザインに深い影響を与えました。