アマルフィ海岸は、南イタリアのソレント半島南岸に続く断崖の海岸線で、崖に張りつく町々とレモンの段々畑がつくる文化的景観として世界遺産に登録されています。アマルフィの町から隣のアトラーニへ崖の階段道を登り、町を見下ろす場所まで歩いた記録を、動画・写真・解説付きでまとめています。
崖に建物が並ぶ町
日曜日でバスの本数が少なく、90分ほど待ってから崖沿いの道をバスで着きました。海辺の周りの崖に数多くの建物が並ぶ景観が、文化的景観として世界遺産になっています。町の中心は教会で、あとは町を一望できる場所を探すのが目的でした。険しい崖に建物を建てていることが登録基準の(iv)、山側のレモン畑に集落があることが(v)、各地に影響を与えたことが(ii)にあたります。
山道とは別種の、あまりに険しい階段の道を登っていきます。こんな崖の上でも果物を育てていて、名産のレモンが目立ちます。登り続けた先は行き止まりでしたが、隣のアトラーニが見下ろせる場所まで来られました。崖のくぼみごとに集落が分かれていて、アマルフィを含む4つの地域が世界遺産に登録されています。今も普通に人が暮らしていて、この階段で生活するお年寄りはどうしているのかと思いました。
町を見下ろす場所まで
一度アマルフィに戻り、トンネルを抜けて海沿いから崖沿いの唯一の道をたどると、アマルフィの市街を一望できる場所に着きました。GPSが頼りにならないほど入り組んだ道で、崖下にはレモンの木がいっぱいです。自然遺産ではなく文化遺産の「文化的景観」という枠は、こういう過酷な場所が多いのだと思います。来てみないと、この険しさは分かりません。ギリシャ神話で世界で最も美しい場所と言われたそうですが、イタリアの人にとってはいちばん美しい海岸の景観なのだと思います。
アマルフィは紙の名産地でもあり、アラビアから港町に製法が伝わってイタリアへ広がったとされています。一番奥の紙の博物館は観光客がほとんど来ない場所でした。観光地の土産はレモンの商品ばかりで、最後にレモンのシャーベットを食べ、教会を見て帰りました。
UNESCOの登録理由では、アマルフィ海岸はサレルノ県のソレント半島南岸に広がる景観で、15の自治体と3つの自然保護区を含みます。世界遺産はアマルフィ、アトラーニ、レジンナ・マイオル、レジンナ・ミノルの4つの主要な海岸地域と、ポジターノやラヴェッロなどの地区からなります。9〜11世紀のアマルフィ海洋共和国の時代に栄え、東西の要素が融合した「アラブ・ノルマン」様式の建築が残り、下の斜面には段々畑のブドウ畑と果樹園、上の高地では牧羊が営まれてきました[1]。
世界遺産データ:アマルフィ海岸
アマルフィ海岸は1997年に世界遺産に登録されました。登録基準は(ii)(iv)(v)で、劇的な地形と歴史がつくった文化的景観であること、中世初期から集住が続く地中海の景観の傑出した例であること、都市から集約的な農地、人の手の入らない自然までが一つの範囲に収まる複雑な集落の例であることが理由です。狭い通りと急な階段は東方のスークを思わせ、石積みの段々畑では柑橘・オリーブ・ブドウの栽培が続いています[1]。
- i
- ii
- iii
- iv
- v
- vi
- vii
- viii
- ix
- x
- (ii)建築・技術・都市計画・景観設計における価値観の交流
- (iv)人類の歴史の重要な段階を示す建築・技術・景観の見本
- (v)伝統的な集落や土地・海の利用の見本