ティヴォリのハドリアヌス別荘は、ローマ郊外ティヴォリに2世紀のローマ皇帝ハドリアヌスが築いた広大な離宮の遺跡で、エジプト・ギリシャ・ローマの建築を集めた「理想都市」として世界遺産に登録されています。同じティヴォリのエステ家別荘から歩いて訪れ、2時間のルートで遺跡を回った記録を、動画・写真・解説付きでまとめています。
街のように広い離宮
現地ではハドリアヌス別荘と言っても通じず、「ヴィラ・アドリアーナ」が現地の呼び名です。入口でもらった地図には1時間半・2時間・3時間のルートがあり、2時間のルートで回りました。別荘というより一つの街で、図書館や浴場など、ここで暮らすのに必要な機能が一通りそろっていたようです。周囲は壁で囲まれ、内側は庭園になっています。
直前に見たエステ家別荘が16世紀のルネサンス期なのに対し、こちらは紀元100年ごろで、1500年ほどの開きがあります。エステ家別荘がヨーロッパの庭園に影響を与えた側なら、ハドリアヌス別荘はルネサンスの建築家たちが手本にした側で、古代ギリシャ・エジプト・初期ローマの要素が集まっています。
黄金の広場と浴場
最初の見どころは図書館の庭で、ローマ風のイオニア式の柱が並び、中央が池に囲まれています。一番西の果てにあるのが黄金の広場です。見ただけでは何が黄金なのか分かりませんが、中庭を柱廊が二重に囲む独特の構造で、皇帝が使ったと思われる彫刻が掘り出されたことから、その豊かさを指してこう呼ばれるようになったそうです。
柱にはティヴォリの大理石とエジプトの花崗岩が交互に使われていて、ローマだけでなくギリシャ・エジプトの文明が混ざった建築であることが分かります。
「小浴場」と書かれていても、どこが小さいのか分からないほど広く、ドーム型の空間がいくつも続きます。ヨーロッパの人はシャワーが多いというイメージがありましたが、この時代の人は相当な風呂好きだったようです。
一番北の端にあるカノプスはエジプトの都市を模した場所で、ワニの彫刻も見つかっていて、ナイル川をイメージした空間です。最後に発掘調査の展示がある博物館を見て終わりました。白い大理石にギリシャ風の彫刻の跡が残っています。
UNESCOの登録理由では、ハドリアヌス別荘は117年から138年にかけてローマから離れた隠れ家として建てられ、ティブルの丘陵に約30の建物の遺構が広がります。宮廷のための建物群は4つの列柱廊を中心に配され、黄金の広場はキポッリーノ大理石とエジプトの花崗岩の柱が交互に並ぶ二重の柱廊に囲まれた壮大な空間です。
「海の劇場」は円形の人工島に小さな別荘を置き、イオニア式の大理石の柱廊が取り囲みます。浴場は小浴場・大浴場・ヘリオカミヌス付き浴場の3つがあります[1]。
世界遺産データ:ティヴォリのハドリアヌス別荘
ティヴォリのハドリアヌス別荘は1999年に世界遺産に登録されました。登録基準は(i)(ii)(iii)で、古代地中海世界の文化の最高の表現を一つに集めた傑作であること、ルネサンスとバロックの建築家が古典建築を再発見する鍵になったこと、初期ローマ帝国の例外的な遺構であることが理由です。138年のハドリアヌス死後は長く荒廃し、1461年に再発見されました。18世紀から変わらない庭園と池の景観が保たれています[1]。
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- (i)人類の創造的才能を表す傑作
- (ii)建築・技術・都市計画・景観設計における価値観の交流
- (iii)文化的伝統や文明の、比類のない証拠